SSブログ

初代ズミルックス35mm F1.4 [ライカ]

初代ズミルックス35mmf1.4は1960年開催の「フォトキナ」で当時世界最高の明るさを誇る焦点距離35mm広角レンズとして発表された
初代ズミルックス35mmf1.4(写真左側 以下、前期型)は1960~1966年まで製造され、次のズミルックス35mmf1.4(写真右側 以下、後期型)は1966~1995年までの通算35年間製造されたロングランのレンズでもあります
1.jpg

そしてこのレンズの特徴をいくつか挙げさせて戴きます
まずは、このレンズはライツ・カナダで設計・製造されました
カナダで設計・製造したことが誇りに思われるのか、前玉周囲のプレートに「LEITZ CANADA」の刻印、サイドにも「CANADA」、さらには下側にも「LENS MADE IN CANADA」と一本のレンズに3ヵ所もカナダの文字が刻まれている
他のレンズには多分このような事はありません
2.jpg

3.jpg

そしてレンズ構成ですが、どちらのレンズも5群7枚構成です
開放値f1.4の高性能を高屈折、低分散のランタン希土類ガラスを採用することで実現したそうです
レンズのコーティングの色は前期型、後期型とも同じようです
しかし、㈱関東カメラサービスのMTFデーターによると、この二つのレンズの性能曲線は大きく違っていました
5.jpg

前期型には、ピント調整レバーにストッパーが付けられています
ボディーはホワイトクロームで作られていますが、ほんのわずかブラックで仕上げられたものが存在します
後期型のボディーはブラッククロームで作られています
その後、チタンコーティングを施されたレンズも販売されています
また、後期型初期にはピント調整レバーにストッパーが付けられています
ストッパーのシルバータイプとブラックタイプが存在しています
4.jpg

レンズフードは、前期型が「LRITZ CANADA OLLUX」、後期型は「LEICA CAMERA GERMANY 12504」となります
互換性はありません
6.jpg

フィルターは、前期型はE41(41mm)、後期型はSⅦ(シリーズ7)タイプとなります
前期型はレンズの先端にねじ込みで取り付けられますが、後期型はレンズの先端にはネジが切っていないため、レンズフード内にフィルターをはめ込んで使います
7.jpg

此処に雑誌から借用した㈱関東カメラサービスで測定されたMTFデータを掲載します
上が前期型になります
曲線の説明はは出来ませんが、レンズ中心部の曲線と周辺部の曲線が接近しており、解像力は低めだが周辺とのバランスが取れているデーターになっています
開放時は逆光に弱いためフードを装着した方が望ましい

下が後期型になります
レンズのコーティングの色合いは同じですが、単層からマルチコーティングへ変化しています
前期型とほぼ同じ中心部、周辺とも同じ曲線になっている
開放での撮影では全体が柔らかくふわっとした描写になります
前期型と比べて逆光には強くなっています
P1060985.jpg

レンズの特性はクセ玉の代表とも知られ、開放でのフレアー、ゴーストは有名である
絞り開放時ではハイライト部に滲みが出ますが、2段絞ればビックリするほどシャープになります
といって硬い描写ではありませんが素晴らしいレンズです
8.jpg

その後、1990年に二代目5群9枚構成の非球面レンズ2枚使用した「SUMMILUX ASPHERICAL」、1994年以降は5群9枚構成の非球面レンズ1枚使用した「SUMMILUX ASPH」が販売されている
「SUMMILUX ASPHERICAL」レンズは欲しいと思うが、現在では手の出ない価格になってしまっている